VRライブとは?NTTドコモが5Gで利用できる16Kでの配信システムを発表
最近、「VRライブ」や「配信ライブ」、「リモート」という言葉を聞くことが多くないでしょうか?コロナ禍の影響により、オンライン化の需要が増えこれらのキーワードに注目が集まっているためです。
今回は、「VRライブとは?」という点と、「ドコモが発表した16K配信システム」についてご案内していきます。
1.VRライブとは?
VRライブや配信ライブという言葉をテレビなどのメディアで見たことがあるけれでも、意味はよくわからないという方が多いかもしれません。VRライブとは、文字通りVR機器を使って音楽ライブやスポーツ観戦をおこなうことを意味します。
そもそもVRは「Virtual Reality」の略で、日本語に訳すと「仮想現実」を意味します。VRゴーグル(ヘッドマウントディスプレイ)と呼ばれる機器を装着すると、目の前にライブハウスなどの現実空間の様な映像が映し出され、その場にいる様な状態でライブを体験できます。
近年、「Vtuber」と呼ばれるYoutube上のバーチャルアイドルが活動しています。アニメーションによるバーチャルアイドルですが、VRライブと相性が良く、とあるVtuberのアイドルのライブには5000人以上のファンが集まる例が出てきています。
また、DTM(PCやタブレット、スマートフォン等での楽曲制作システム)の発達で「ボーカロイド」と呼ばれるソフトウェアやアプリを使うとコンピュータに”歌を歌わせる”ことが可能になっています。このボーカロイドを利用したVRライブも開催されています。
この様に、VRや配信ライブは今後ますます普及していくことが予想されます。
2.NTTドコモがVRシステムを開発
画像引用:https://www.nttdocomo.co.jp/
拡大していくVRライブ市場を狙って、NTTドコモは2021年3月に16Kという高画質に対応したVRライブ配信システムを発表しました。
この16Kのシステムは、次世代の高速モバイル通信網である「5G」での利用を想定して開発されています。
リアルタイム(生配信)に対応しており、クラウド型のシステムになっています。また、360度の視聴が可能なVRであり、視聴者は音楽ライブやスポーツイベントの会場に来ているかの様な体験ができるとされています。
同VRシステムは、何台かのカメラで撮影された動画をクラウド型システムで処理をおこない、16K画質で360度映し出します。このタイプのVRシステムは世界初となっています。
画像引用:https://www.nttdocomo.co.jp/biz/special/5g/testmark/002/
3.16K、4Kとは?
画像引用:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2103/05/news128.html
前述したNTTドコモのVRライブシステムには、16Kが採用されています。16Kとは、4Kの16倍にあたる高画質の映像を意味します。
2021年現在、Youtube等で一般的に視聴されている動画の高画質画像は「フルハイビジョン(FHD、2K )」と呼ばれています。Youtubeの画質を選択する設定で「1080p」という表記を見たことがないでしょうか?あれがフルハイビジョンの画質になります。ディスプレイの解像度という言い方ですと「1920×1080ピクセル」がフルハイビジョンです。
それに比べて4KのVRゴーグルなど、4Kのディスプレイはフルハイビジョンの4倍の高画質となります。解像度は3840×2160ピクセルとなります。近い将来、この4Kが主流になっていく、と言われています。
フルハイビジョン画像でも、過去のアナログ時代のテレビ画像よりもかなり画質が向上しており、フルハイビジョンの動物等の自然ドキュメンタリー番組を視聴すると、まるで目の前に被写体がいるかの様に動画を見ることができます。4K画質は更に現実空間に近い動画を視聴することが可能です。
16Kの動画に至ると、この4K動画の16倍の高画質になります。つまり、VRライブに16Kを採用することにより仮想空間の映像が現実世界の映像と遜色ない状態に近づくことを意味します。
大袈裟に言いますと、高画質なVRライブなどの普及によって私達は、「現実世界」に加えて「仮想世界」というもう一つの無限の土地の様な空間を手にすることになります。今後の動画技術の発展に非常に期待が持てます。
4.広がっていく5GとVRの普及
NTTドコモのVRライブシステムで利用される「5G」は、2020年3月から国内では本格的にスタートした次世代の通信網です。
NTTドコモだけではなく、au、ソフトバンクも5Gサービスを開始しています。4G回線は最高速度が1Gbpsに対して、5G回線は最高速度が20Gbpsというスピードで、4Gの20倍の”超”高速回線になっています。
VRライブを含めて、高画質でインターネット配信をおこなおうとすると、かなりのサイズのファイルを送受信することになります。これを4G回線を利用して通信をおこなうと、動画のフリーズが頻繁におこったりします。フリーズとは「停止してしまう」という意味で、VRライブや配信中にフリーズが起きると途中で止まってしまいます。
最近、テレビ番組でリモートでの中継を見ることが多くなっていますが、タレントが話している途中で画像が止まってしまっている場面をご覧になったことがないでしょうか?
あれは、通信回線が遅い、などの理由で動画がフリーズしてしまっている状態です。お笑い芸人さんであれば、爆笑をさそうところですが、VRライブの途中でフリーズが起こると致命傷になります。
それを解決できる可能性があるのが、5G回線です。自宅のインターネット回線ですと、光ファイバーが高速回線になり、同回線からVRライブにアクセスすると安定した通信を期待できます。外出先からアクセスする場合などには、モバイルのインターネット回線を5GにするとVRライブも安定して閲覧できるのではないか、と予想できます。
5G回線はフリーズも減少し、前述したライブや配信に加え、自宅での遠隔診療、会話中の外国語の自動翻訳等、様々な技術が導入されていくことが期待できます。
5.VRライブの視聴方法
16K、360度ライブはまだまだ普及の途中ですが、現在すでに参加できるVRライブを実際に視聴するには、Oculus Go、プレイステーションVR、などのVRゴーグルが必要になります。それぞれのライブで対応したゴーグルが違う場合もあるので調べてから視聴しましょう。
必要なものとしては、前述したVRゴーグル、専用のアプリやソフトウェア、参加チケット、場合によってはゴーグルを接続するPCが必要です。スマートフォンで視聴できるVRもありますが、対応しているかをチェックしましょう。
まとめ
VRライブについてご案内してきました。
コロナ禍は私達に多くのデメリットをもたらしましたが、一方で「オンライン化、デジタル化、リモート化の加速」というメリットも少しは生み出しています。
「災い転じて福と為す」という言葉がある様に、マイナスの出来事の中にも次のステップへのヒントがあることも考えられます。
ちなみに、今まで人類が体験してきた感染症ですと、1348年位に流行したペストがありますが、この感染症をきっかけにヨーロッパは封建社会(市民は支配層に従う社会)が崩れていくきっかけになったそうです。
このことから、アフターコロナの時代には、更なるオンライン化が進んでいくのかもしれません。VRライブだけではなく、様々な情報をチェックしておきましょう。
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