VRの避難訓練で災害による被害を抑えることはできるのか
VRの避難訓練によるメリット、実際のVR避難訓練の導入事例を詳しく解説!
災害の多い国日本において、日頃から災害時を想定して避難訓練をしておくのは非常に重要です。
しかし、いざ学校や自治体で避難訓練をしようとなると、大幅に時間がかかってしまったり、あまりに本当の災害と状況がかけ離れているために本気で避難訓練に取り組むことができない、という問題が発生してしまうことも多いかと思います。
そのような場合には、VRによる避難訓練をすることで多くの問題を解決することができるかもしれません。
そこで、この記事では、主に
- VRで避難訓練をすることのメリット
- 実際にVRでの避難訓練の導入事例
の2つについて解説していきます。
VRで避難訓練をすることによるメリット
はじめに、VRで避難訓練することで得られるメリットについて紹介していきます。
まず一つ目にあげられるメリットは、よりリアルに災害時を想定することができる点でしょう。
災害時のような非常事態には、あまりに実際の災害時の避難と避難訓練がかけ離れているがために、思い通りに自分の体が動かないということがほとんどです。
しかし、VRによる避難訓練では、火災の煙などを再現したより現実に近い疑似災害体験をすることができ、実際の災害時の避難の時にパニックに陥ることなく避難することができる可能性が高まります。
二つ目にあげられるメリットとして、通常の防災訓練に必要な大規模な準備などが必要ないという点があります。
実際に避難訓練などを実施しようとすると、数日前から準備することが必要となり、そのことが運営者にとって大きな負担となっています。
VRでの防災訓練は現実的なコストで導入でき、準備にかかる時間や費用なども抑えられるため、避難訓練を検討している学校や自治体にとって有効な選択肢の一つに入るのではないでしょうか。
ここではVRによる避難訓練を導入することのメリットについて説明してきましたが、次からは実際にVRの防災訓練を導入している事例について解説していきます。
iDEACLUOD社の「防災VR」シリーズ
まずはじめに紹介するのは、iDEACLUOD社の「防災VR」シリーズです。
iDEACLOUD社は、様々な先端事業の技術開発や企画を行なっている会社で、数多くの先端技術を用いた製品を提供していますが、その中に「防災VR」という製品があります。
「防災VR」では、VRヘッドマウントディスプレイを利用して火災や地震といった災害をバーチャルリアリティで体験することができ、煙に巻かれたり、家具が倒れたりといった実際の防災訓練では危険で体験型にできない災害体験をVRで実現しています。
「防災VR」には、「防災VR火災体験」と「防災VR地震体験」の2種類があります。
「防災VR火災体験」では消火体験と避難訓練をVRで体験することができ、消化体験では消火器を使った消化体験をVRで体験でき、どれくらいの速さで火を消すことができたのかのタイムをなどが表示されるゲーム要素も含まれています。
避難訓練では、CGによって精巧に再現した日本の学校で、実際に煙や炎に囲まれた状態での避難訓練を体験でき、火災現場での判断力などをよりリアルに養うができます。
また、「防災VR地震体験」では、ランダムで地震が発生し、本が落下したり棚が倒れる体験を行えます。
PC版とスタンドアロン版では、倒れる棚から身を守る為に机の下に隠れる事ができ、頭に当たった回数が表示さえれるゲーム要素も兼ね備えており、また、部屋のCG変更など、それぞれの人に合わせたカスタマイズも可能となっています。
株式会社 理経によるVRを用いた避難訓練への取り組み
次は、最先端のシステムを用いて様々なソリューションを提供している会社、理経が提供しているVRの避難訓練に関する製品を紹介していきます。
株式会社理経は「訓練用VR」として、
- 防災訓練用VRシリーズ 〜工場火災避難編〜
- モバイル型VR訓練ソリューション「RIVR-DM」
- 体験型VR訓練ソリューション「RIVR-Dシリーズ」
を提供しています。
防災訓練用VRシリーズ 〜工場火災避難編〜では、スタンドアロン型VRヘッドセットを利用して、火災が発生し黒煙が充満する工場内から、実際に歩いて、しゃがんで避難する体験をVR空間内で行うことができます。
誘導灯が煙で見えづらい、といった実際の火災現場ならではの問題も体験することができます。
(画像は株式会社理経サイトから引用)
モバイル型VR訓練ソリューション「RIVR-DM」では、避難誘導灯を頼りに自分で避難経路を判断し、非常出口まで避難する一連の流れをVRで体験することができます。
(画像は株式会社理経サイトから引用)
体験型VR訓練ソリューション「RIVR-Dシリーズ」では、VR(バーチャルリアリティ)を活用し、火災現場からの避難を模擬体験できる防災訓練用機材です。
既存の訓練機材と比較して準備コストが少なく、またVRならではの臨場感ある防災訓練を可能にします。
(画像は株式会社理経サイトから引用)
1億3000万円を投じて作られた東京消防庁のVR防災体験車
東京消防庁は2018年にVR防災体験車(愛称 VR BOSAI)を導入しました。
(画像は東京消防庁サイトより引用)
同時に8人まで体験可能なモーションシートに乗り込み、VRヘッドセットでバーチャルリアリティ映像を見ながら、災害現場の状況に合わせて座席が激しく揺れたり、周辺から風や水しぶき、臭いや熱気が出たりするなどの演出を体験することができます。
体験は1回約3分間となっています。
東京消防庁はこのVR防災体験車のために1億3000万円を投じており、東京消防庁がどれほど都民への防災訓練の普及に力を入れているかがわかりますね。
まとめ:VR避難訓練のメリット、導入事例について
この記事ではVRによる避難訓練のメリット、そして実際に行われているVRでの避難訓練の導入への取り組みについて解説してきました。
ここでこの記事のポイントをおさらいしてみましょう。
まずVRでの避難訓練を導入することによるメリットとしては、
- よりリアルに災害時を想定することができる
- 通常の防災訓練に必要な大規模な準備などが必要ない
がありました。
また、実際のVRによる避難訓練の導入事例としては
- iDEACLUOD社の「防災VR」シリーズ
- 株式会社 理経によるVRを用いた避難訓練への取り組み
- 1億3000万円を投じて作られた東京消防庁のVR防災体験車
を紹介してきました。
VRによる避難訓練が世の中にもっと浸透して行けば、ひとりひとりが災害の恐ろしさをしっかりと認識することに繋がることでしょう。
そうすればこの災害の多い国、日本においても、災害による犠牲者の数をもっと少なくすることも可能となるはずです。
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