【初心者でもわかる】前進技術から現在に至るまでのVR歴史まとめ

【初心者でもわかる】前進技術から現在に至るまでのVR歴史まとめ

VR装置の前進技術とヘッドマウントディスプレイが誕生するまでの歴史

「VR元年」と呼ばれた2016年から早3年が経とうとしており、これまでに様々なVR機器やアプリが登場しました。

一般的なVRの認知度はまだ高くありませんが、それでもVR機器のユーザー数は増え続けており、着実に普及が進んでいます。

ですが、VRには長い歴史があり、一般家庭で使えるVR機器が登場するまでに70年以上もの歴史があることはご存知でしょうか。

VRの歴史を振り返ってみるだけでも、現在のVRがいかに凄いものかが伝わると思います。そこで今回は、VRの歴史を簡単ではありますがご紹介します!

ちなみに、VR(Virtual Reality)という言葉を最初に考案したのは、フランスの芸術家アントナン・アルトー氏が考案したもので、この当時の「VR」は現在とは意味の異なる芸術用語でした。

現在の「人工現実感」という意味は、下記で登場する米国のコンピューター科学者、のちに「VRの父」と呼ばれたジャロン・ラニアー氏によってもたらされたものです。

1930年頃から誕生した娯楽、訓練、教材として活用されたVRの前進技術たち

「VR」というと、頭部に装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)を着けるもの、というイメージが一般的ですが、広義には「現実のような感覚を人工的に生み出す技術」を意味します。

この意味でのVRが最初に登場したのは1930年代、トレーニング目的に開発されたフライトシミュレーター「リンクトレイナー(Link Trainer)」です。

実際に飛行機を飛ばしている時の動きを、実物大のコックピットで再現できるリンクトレイナーは、1950年代まで改良を加えながら世界中でパイロット訓練に使用され、米国やカナダ、イギリス、ドイツ、日本でも採用されています。

また、パイロット訓練だけでなく、アミューズメントパークでも娯楽目的として導入され、幅広い成功を収めています。

コンピューター上に人工的な環境を作り出し、現実のような感覚を生み出す技術

そして1950年代に入るとコンピューター技術が進化して、それを応用した様々な形のVR装置が登場します。

1957年に開発された「Sensorama」という装置は、19世紀の写真機のように使用者がマシンの中に頭を突っ込んで3D映像を見るという、現在のような頭部装着型のHMDとは異なる姿をしています。

映画技師だったMorton Heilig氏が開発したこのSensoramaでは、映像だけでなく香りを生成したり、イスが振動したり風を送り出したりなど、映像体験中のリアリティをより感じやすくする仕組みを導入していました。

香りや振動などの触覚は、VR体験の没入感を増幅する重要な要素として、現在も様々な企業や大学が研究・開発を行っています。その点では、Sensoramaは多感覚のVR体験をいち早く考案した先駆的な例と言えます。

1960年頃から誕生したヘッドマウントディスプレイとトラッキング技術

そして1960年代になると、現在のような頭部に着ける形のHMDの原型が登場します。

上記のSensoramaを開発したHeilig氏が考案した「Telesphere Mask」は、現在のOculus RiftやHTC Viveなどと殆ど同じ形をしています。両面のディスプレイで立体映像を視ることは可能でしたが、現在のVRのようなトラッキング技術はまだ登場する前でした。

そして1968年には、米国のコンピューター科学者アイバン・サザーランド氏が考案した「ダモクレスの剣(The Damocles Sword)」というHMDが登場します。

これはユーザーが動くとそれに応じてHMD内の映像も動くことが可能で、現在のトラッキング技術の元となる技術が搭載されています。

世界中の企業や国が動いた。1990年代に訪れた第一次VRブーム

こうしてVR技術は現在の形に少しずつ近づいていきますが、VRが初めて実用化されるようになったのは1980年代からでした。

VRを最初に導入したのはNASAで、VR内で宇宙空間を再現することで宇宙飛行士の訓練に用いていました。ですが、この時点ではまだ世間的なVRの認知度は殆どありませんでした。

ですが、VRが一躍世に知られるようになったきっかけが、米国のVPL Researchという企業が開発した「Eye Phone(アイフォーン)」というHMDです。ハンドトラッキング用のグローブ「Data Glove」も開発するなど、現在のVR体験とほぼ同じシステムを可能にしました。

ちなみに、このVPL Researchの創業者が、冒頭でも触れたジャロン・ラニアー氏です。Eye Phoneの視野角は100度と、現在のVR機器とほぼ同じです。(HTC Vive、Oculus Riftの視野角は110度)しかし、価格が300万円以上と非常に高価でした。

そして1990年代になると「第1次VRブーム」が起き、テーマパークでもVR体験装置が導入されるなど、VRへの開発投資が盛んになりました。日本でも当時の松下電工(今のPanasonic)が、システムキッチンのリアルな完成図をVRで体験できる技術の開発に乗り出すなど、VRに対する期待が高まりました。

ですが、当時の技術では実用的といえるVRシステム一式を揃えるためには、5,000万円~1億円以上というとてつもないコストがかかりました。こうしたコスト面での障壁を超えることができず、ブームは収束。普及には至りませんでした。

VRの技術的進歩に貢献したOculus Riftの誕生と第二次VRブームと現在

こうして、世間のVRに対する関心は冷めてしまい、VRというとSFやサイバーパンクの中に出てくる架空の技術、というイメージが定着しました。

ですが2010年代には、画期的な技術が考案されたことでようやくVR普及への道が拓かれます。

今までのVRの問題点を解決し、一般に認知される要因となったOculus Rift

2016年のVR元年のきっかけになったのが、史上初の家庭向けVR機器である「Oculus Rift」です。

まだ24歳だったパルマー・ラッキー氏(Oculus VR創業者)は、低価格化した液晶パネルを使用することで製造コストを大幅に下げて、個人でも十分に買える価格のHMDを開発することに成功しました。

このOculus Riftは2012年にクラウドファンディングサイトのKickstarterで資金公募を行いましたが、開始からわずか3日で100万ドル(約1億円)を集めるほどの注目を集め、翌2013年には最初の開発者版「DK1」を出荷しています。

そして、世間のVRに対する認知度が決定的となったのが2014年、FacebookがOculusを20億ドル(約2,200億円)で買収した時です。VRに理解のある大企業の後ろ盾を得たことで開発も促進し、2016年には現在市販されている製品版「Oculus Rift CV1」が発売されました。

多くの企業がVR装置を製作、家庭にVRが普及した第二次VRブームと現在

同時期の2014年には、ゲーム配信プラットフォームSteamの運営企業であるValveも独自開発のHMDを発表し、その後HTCとの共同開発によって、2016年4月に「HTC Vive」を発売しています。

 

また、かねてから独自にHMD開発を行っていたソニー・インタラクティブ・エンターテイメントも2016年10月に「PlayStation VR」を発売しました。

 

こうして、2016年には現在主流となっているVR機器が一斉に発売されたことで、VRの普及が本格的に始まった記念すべき年として「VR元年」と呼ばれています。

VRというとごく最近登場した新しい技術のように見えますが、実は半世紀もの長い歴史があり、現在のVRブームは一度目ではないことがお分かりいただけたかと思います。

一般でのVR普及が始まってからまだ間もないですが、様々なVRアプリやサービスが利用できるようになった現在、VRの本当の歴史はここから始まった、といっても過言ではありませんね!

前進技術の登場からVRブームを経て現在。VRの歴史まとめ

VRの、約70年間に及ぶ長い歴史の間で、現在のVR機器の形になるまでには様々なアイデアが登場してきました。

最初はコンピューターを使わないシミュレーターから始まって、徐々に現在のHMDの形に進化してきました。その過程で、位置トラッキングやハンドトラッキングなどの、現在のVRに不可欠な技術も備わってきました。

VRブームは過去にもありましたが、コスト面での障壁をクリアできずに普及には至りませんでした。ですが、低価格で高性能なOculus Riftの登場によって、本格的なVRの普及が始まりました。

VRの普及はまだ始まったばかりですが、こうして歴史を振り返ってみると、VRはまだ進化の途上で、将来は想像もできない姿に進化しているかもしれませんね!